港区二本榎西町二番地、口羽医院長、口羽雑介、下山さんの奥さんの実家高木得三氏の家が付近にあって同家の子供さん達の診察もし親しくしていた。昭和十年頃で六、七月の午前七時頃下山氏の家人が薬て朝起きないで変んだから診て貰い度いとの事に往診すると下山氏はもうろうとして寝ていた。原因を開くと家人は神経衰弱で眠れないのでカルモチソを少し飲み過ぎたとの話しであった、同人は自分も通い切れないから病院に入れて治療して貰えばよいでしょうと話して帰ったが慶応病院に入院され暫くして帰って来られた様であった、当時胃かいようもやっていて南胃腸病院か川島病院で治療されていた。当日家人は生命には別条ないでしょうかと心配しでいたが、自分が見た折の状況では幾分口も利け生命には異状ないと思った。自分が下山氏を診察したのは其時が初めてで其後はやっていない。
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本事実により既往に神経表弱気味のあった事と、其れは軽度のものではなかった事が窺われる。一部の医師はカルモチソの飲み過ぎは自殺未遂であると判断するものもあるが、之の点は確証がない。
七月二十八日
須藤 部長・杣 部長・新井 部長・中ノ瀬刑事
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